※当記事は、2024年12月5日に海外支社にて英文で公開されたものを、グローバルサインカレッジ編集部で翻訳したものです。

モノのインターネット (IoT) は私たちの日常生活に欠かせないものになっていますが、日常のやり取りをはるかに超えた機能も備えており、医療から農業、商業、金融までさまざまな産業に多大な発展をもたらしながら、重要な環境、社会、政府の取り組みをサポートしています。

これを念頭に置くと、メーカーやIoTソリューションプロバイダーは、自社のデバイスが構想から導入、そして耐用年数の終わりまで確実に保護されるようにすることが不可欠です。このような取り組みや技術開発が深刻な混乱に陥るリスクにさらされる可能性があるためです。

IoTセキュリティについては、開発プロセスの初期段階から高い優先順位で取り組む必要があり、メーカーとソリューションプロバイダーは、安全なデバイス・エンロールメントについても最初から考慮する必要があります。

安全なデバイス・エンロールメントの重要性

IoTネットワーク侵害のリスクは、IoTイノベーター※1だけでなく、IoT の利用に依存しているあらゆる組織にとって壊滅的なものになる可能性があります。特にIoTイノベーション※2は、短期間に導入される大規模な接続デバイスに依存しており、さらにその接続方法の複雑さによってセキュリティが見落とされがちになります。

※1 IoTデバイス、プラットフォーム、アプリケーション等、IoTの分野で新しいアイデア、技術、またはソリューションを積極的に開発、実装、または促進する個人または組織。
※2 IoTの技術を利用して革新的な業務変革や新事業を実装すること。

産業規模の IoT、つまりイノベーションや新しい取り組みをサポートするIoTは、ネットワークの規模や複雑さ、デバイスの相互運用性により、非常に脆弱になる可能性があります。これらの脆弱性が悪用されると、業界、ESG※3の取り組み、重要なインフラストラクチャが危険にさらされる可能性があります。

※3 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)を考慮した投資活動や経営・事業活動。

これは、中小企業の事業者だけでなく、大企業や業界のリーダーにも影響を及ぼします。中小企業は、大規模で複雑なネットワークを運用していないかもしれませんが、それでも、運用効率の向上、オンプレミスのセキュリティシステム、在庫の追跡と監視、コスト削減等のためにデバイスに依存している可能性があります。これらの重要なシステムが侵害された場合、評判の低下につながるだけではなく、運用の中断、経済的損失、法的影響につながる可能性の方が高くなります。さらに、中小企業にとって、管理されていないネットワークの脆弱性から生じる損失を吸収することははるかに困難です。

IoTアプリケーションの使用事例は驚くほど多様で、私たちの生活のあらゆる側面に影響を及ぼします。以下は IoT が大規模に適用されている例のほんの一部です。

ヘルスケア

IoTは、遠隔患者モニタリングなど、ヘルスケアの多くの側面を最適化します。これにより、医療施設に行って治療を受けることができない患者や、自宅で治療とモニタリングを受けることで大きなメリットを得られる患者に、より質の高いケアを提供できます。IoTデバイスは、医療用品の追跡や在庫の監視にも使用され、病院やその他の医療施設に必要なすべての医薬品や機器が揃っているかどうかを随時確認することで、無駄を削減します。また、接続されたIoTデバイスを通じて外科治療や検査のプロセスを大幅に改善し、ロボットを使用した手順をサポートしています。

農業

IoT対応のプロセスは小規模農業で導入するにはリソースとコストが大量にかかりますが、それにもかかわらず農業分野では現在、IoTに最適化された農業への移行が進んでいます。これには、農作物や家畜のモニタリングが含まれます。これにより、農家は作物の成長と健康状態を把握し、栽培方法や収穫時期について効果的な決定を下すことができます。また、IoTにより効率的な天気予報が可能になり、農家は農作物を保護するために必要な予防措置を講じ、灌漑と施肥のスケジュールを最適化し、害虫駆除を自動化することもできます。

製造

IoTは、製造ラインの最初からサプライチェーンの最後までのあらゆる工程で使用されています。温度など製造条件の監視を含め、機械通信とデータ共有を通じて生産性を最適化し、工程の停止を防ぐために使用されています。製品が工場から出荷された後も、出荷の準備が整ったことの通知、出荷場所と遅延の有無を通知することで、出荷のスケジュールを最適化し、供給の遅延を防ぐためにも使用されます。

商取引と金融

IoTは、非接触型デバイスなどのPOS機器で使用されるだけでなく、投資や現金管理について情報に基づいた意思決定を行うためのリアルタイムデータの送信にも使用されます。また、アセットトラッキングにより、在庫監視と資産監査も最適化されます。IoTデバイスは、生体認証スキャンなどの多要素認証方法による詐欺防止や、不正行為や異常をより迅速かつ効率的に特定するためのデータ生成と分析にも使用されます。

ESG

IoTは、ESGの開発とテストにおいて貴重な資産です。農業、気候耐性建築、グリーンエネルギーソリューションの開発における気候変動への適応のためのデータ収集から、海洋生物や野生陸上動物の個体群の保護に必要なデータの監視まで、IoTデバイスは気候変動に関するデータ収集に不可欠です。IoTは、エネルギー消費の改善、ビル管理、輸送の最適化に役立つデータ収集にも活用されています。IoTデバイスによって収集されたデータは、水やエネルギーなどの必需品をよりアクセスしやすく、効率的で手頃な価格にするために不可欠です。IoTは、ESG目標を達成するための極めて重要なパズルのピースです。

これらはIoTがどのように使用されているかを示すほんの一例ですが、ネットワークとデバイスの脆弱性が悪用された場合にどれほどのリスクがあるか、また安全なデバイス・エンロールメントがいかに重要性かを示しています。

業界のリーダーがネットワークのセキュリティを確保し、IoTインフラストラクチャを保護しない場合、IoT関連のセキュリティ侵害の結果は罰金や評判の低下にとどまらず、被害がIoTチェーン全体に波及してエコシステム全体が危険にさらされる可能性があります。1つのネットワークが侵害されると、その影響は波及して複数の企業や業界に影響を及ぼし、個人レベルでも私たちに影響を与えることが懸念されるのです。

デバイス・エンロールメントプラットフォームを実装する際に考慮すべきこと

IoTソリューションプロバイダーとメーカーは、IoTエンロールメントソリューションを実装する際に、次の重要な要素を考慮する必要があります。

インテグレーション

メーカーとソリューションプロバイダーは、既存のシステムを監査し、インテグレーション計画を作成して、既存のシステムを補完するソリューションを確実に実装する必要があります。独自のIoTユース ケースに対応するには、カスタマイズ可能なインテグレーションが不可欠です。

柔軟性とセキュリティ

デバイスの導入において、停止やボトルネックの問題を回避するには柔軟性が重要です。ただし、セキュリティを犠牲にするのは避けるべきです。セキュリティを犠牲にすると、後でさらに大規模な停止が発生する可能性があります。したがって、メーカーは拡張可能で、柔軟性があり、カスタマイズ可能で、安全なソリューションを検討する必要があります。

スケーラビリティ

スケーラビリティは、産業規模の導入では特に重要です。メーカーとプロバイダーは、選択したエンロールメントソリューションが、広範囲かつ独自の要件を大規模に処理できる能力を備えていることを確認する必要があります。

アクセス管理と制御

IoTデバイスのIDでは、セキュリティが常に最優先事項です。そのため、エンロールメントフレームワークには、厳格なエンロールメント認証プロトコル、通信の暗号化、IDストレージが含まれている必要があります。

デバイスのライフサイクル管理

メーカーは、設計段階からセキュリティを確保するために、コンセプト設計から導入、廃止まで、ライフサイクルを完全に自動化するフレームワークを作成し、最適化された証明書プロビジョニングと定期的な更新を備えたソリューションを選択する必要があります。これにより、ライフサイクル全体を通じてデバイスが侵害されるリスクが軽減されます。

規制コンプライアンス

大規模なID展開にはさまざまな独自のユースケースがあり、したがってさまざまな業界要件があります。エンロールメントプラットフォームは、HIPAA※4などの業界固有の規制を含む規制基準に準拠し、サポートする必要があります。
※4 Health Insurance Portability and Accountability Actの略語。アメリカ合衆国での医療情報に関する法律であり、医療機関・組織に対し、患者の個人データを保護するためのセキュリティ対策を義務付け、規則として明確に定めているもの。

専門家によるサポート

複雑なエンロールメントには、事前構成されたワークフローとカスタム証明書テンプレートを実装するためのガイダンスが提供され、あらゆるステップでサポートが受けられるように、独自のユースケースに関する深い専門知識と経験に基づいた専門家のサポートが必要です。

効率性を損なうことなくセキュリティの優先度を上げる

IoTセキュリティは、安全なエンロールメントから始まります。IoTネットワークとデバイスが、構想と設計から始まるライフサイクルの最初から保護されていない場合、ネットワークが侵害されるリスクがはるかに高くなり、小規模な混乱からエコシステム全体の危険に至るまで、広範囲にわたる大規模なプロジェクトや取り組みに悲惨な結果をもたらす可能性があります。

そのため、メーカーやソリューションプロバイダーは、IoTネットワークのセキュリティを最優先し、最初から安全なフレームワークと信頼できるエンロールメントソリューションを実装する必要があります。それにより業界のリーダーやイニシアチブの先駆者は、システムやビジネスへのリスクを心配することなく、中断も発生せず重要な業務を継続できます。

GMOグローバルサインのIoT ID プラットフォーム byGMOは、拡張性と安全性に優れ、セキュリティを優先しながら、多様で大規模なユースケースに対応します。カスタマイズ可能なフレームワークにより、環境が独自のものとなり、要件を満たすことができるため、効率的で中断のない展開が保証されます。

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