導入の背景・目的・課題

S社は、海外にも拠点をもち、インターネットセキュリティサービスをワールドワイドに展開しています。毎月行われている取締役会では、役員と監査役あわせて10名が参加しており、取締役会議事録を作成、印刷、製本して記名押印を回していました。記名押印は、押印者の出張と重なってしまうと翌月の取締役会までかかってしまうこともあり、どの役員のもとで止まっているのか進捗確認に都度時間がかかっていました。

役員がどこにいても確認できるようにできないか、電子化を検討していた事務局のM氏でしたが、そこに新型コロナウイルスの影響で取締役会も対面からウェブ会議に変更されました。そのため、紙文書面で行っていた取締役会議事録の記名押印に関しても、オンラインで行えることが急務となりました。

導入までの経緯

取締役会議事録の記名押印は、議長である代表取締役は「代表者印(会社実印)」、その他役員は「認印」で押印をしていました。2種類の押印が必要だったことから、同様の法的効力が電子契約サービスでも実現できるものかM氏は情報収集をはじめました。

実印と契約印に該当する2種類の電子署名が使えるということから、「電子印鑑GMOサイン」に問い合わせの電話をしたところ「以前は、電子押印に使用できるのは代表者印相当の電子署名である必要があり、代表者印と同等の電子署名は“当事者型”といわれる本人の電子証明書を利用した実印タイプでなければいけませんでした。しかしながら、2020年5月に法務省の見解が発表されたことで、以降は、サービス提供事業者が利用者の指示を受けて行う “立会人型”の契約印タイプの電子署名でも認められるようになりました。」と説明されました。

また、登記申請に添付する取締役会議事録においては、利用できる電子証明書の種類が決められていて、該当の電子証明書が利用できる電子契約事業者のサービスでなければ申請ができないため、確認したうえでサービスの選定が必要とのことでした。

商業・法人登記のオンライン申請について 第3 電子証明書の取得  

登記申請も対応できる電子契約サービス数社に絞り、価格、海外支社でも使えるか、文書管理方法や操作性、電子署名タイプなどの比較検討を経て、最初に問い合わせをしたGMOサインを導入することにしたM氏。多言語に対応していて、電子署名タイプが選べる方が、他の文書に展開した時にも実印タイプの電子署名で対応できるということが決め手でした。

導入して良かった点

GMOサインで取締役会議事録を電子化しことで、運営する事務局だけでなく役員の負担も大きく減ったとM氏は話します。「取締役会議事録の代表者印は、紙文書での運用と同様に、押印の種別を分けるため当事者型(実印タイプ)の電子署名にしました。電子証明書は取得が面倒なのかと思っていましたが、複雑な手続きなく簡単に取得できました。GMOサインを導入したことで、回覧の効率が圧倒的に改善されました。これまで紙の議事録は、1つの原本を順番に回すかたちだったので、都度役員のスケジュールを確認し、それにあわせて回覧する順番を調整していましたが、GMOサインであれば議事録のアップ後、役員に一斉に確認依頼をして、オンライン上で同時に押印してもらうことができるので、調整が一切不要になりました。導入後に海外の役員が新たに加わりましたが、同じように確認が回せるので助かりました。紙のままだったらしばらくは、国際郵便でサインをもらうことになっていたかもしれません。」

S社は併せて、取引先との契約文書も順次電子化を進めているそうです。

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