導入の背景・目的・課題
織物、編物などの製織から染色仕上げまで加工している繊維メーカーのB社。B社の製品は一般的なアパレル用品だけでなく、自動車や航空機のシート素材などに幅広く使用されています。
B社には約30名の営業社員がおり、取引先から見積依頼があった際、営業担当がExcelで作成した見積書を印刷し、営業部長による確認と承認の押印後、取引先にメールにて送付していました。ところが在宅勤務を行うようになったことで、これまで通りのフローだと営業部長が自宅で都度印刷し、押印の上スキャンする必要があったため手間が多く、印影画像をいれてPDF化することも考えましたが、それでは承認の真正性が担保されないまま見積書を提出できてしまうリスクもありました。
そこで会社として見積の承認フローを電子化することになり、システム部門のA氏が導入検討を行うことになりました。ワークフローシステムや電子契約サービスなどいくつか候補が考えられましたが、すでに在宅勤務が行われているため、短期間で導入でき、かつ現状の運用フローやルールを大きく変更せずに上長が承認できる方法が求められました。
導入までの経緯
ワークフローシステム導入は、見積書以外の承認にも利用できる可能性がありましたが、その分、仕様決めの検討に時間を要し、短期での導入は難しいとA氏は判断しました。一方でクラウド型の電子契約サービスはすぐに利用はできそうでしたが、テスト運用を行った結果30名いる営業社員にフローやルールを浸透させるには、一定の時間がかかることが見込まれると判断しました。
そこで、これまでのフローはそのまま、PDF化した見積書に電子署名をいれることで見積承認ができないかと考えたA氏は、Adobeで作成した証明書(Self-Sign デジタル ID)の利用を検討したところ、Self-Signではなりすましのリスクを排除できないことがわかりました。より真正性を高めるためには、認証局と呼ばれ信頼されている第三者機関から発行されるデジタルID(電子証明書)が必要だという結論にいたりました。
そこでAdobe Approved Trust List に登録されていた日本企業のサービスサイトを確認し、価格や導入までの流れがわかりやすかったグローバルサインに問い合わせをしてみることにしました。営業担当者に利用用途を伝えたところ「文書署名用証明書(AATL)であれば、USBトークンに格納された証明書を選択後、署名を作成しタイムスタンプを設定するだけで、Adobe Acrobatを使ってPDFへ署名できます。署名回数は年3,000回までとなります。」と説明してくれました。
年間の署名回数も範囲内であり、署名方法もシンプルでした。それであれば営業社員は見積書をPDFにして署名依頼をし、営業部長は電子署名するだけという従来の承認フローを変更せずに済みます。また利用費も年間10万円以内で導入でき、すぐに利用可能だったことから、まずは一年間利用してみることにしました。
導入して良かった点
持ち運びによる紛失リスクをなくすため、オフィス用と在宅用に2枚の文書署名用証明書を申し込むことにしたA氏。その後、グローバルサインから審査の電話を受けて、審査完了後3営業日程で郵送されたUSBトークンを受け取りました。証明書を取得後、サポートページの各Officeドキュメントへの署名方法の案内を参考にしながら、営業部長に署名方法を伝え、PDFへの電子署名が行えるようなりました。
導入後A氏は、「電子データは便利なぶん、編集も容易となるため改ざんのリスクもあると監査法人からも指摘がありましたが、文書署名用証明書であれば本人性の証明とタイムスタンプが記録できるため問題を回避できました。運用フローの変更は負担も大きいため、なかなか電子化が進まないことを危惧していましたが、簡単に導入できるものもあるとわかったので、これを機にどんな状況においても業務を進められるよう、ペーパーレス化を進めていけたらと思います。」
今後は、見積書だけでなく、契約書や納品書の電子化も予定しているとのことで、用途に合わせ電子契約サービスなどの利用も視野にいれていかれるとのことです。
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※本活用例は、お客様からのご相談や商談をもとに作成したフィクションになります。