国民にとって利便性を高め、公平・公正な社会を実現するために作られた「マイナンバー制度」。ここでは、マイナンバー制度とはどういうものか、世界各国と比較した日本のマイナンバー制度、オンライン化の重要性をみていきます。

日本のマイナンバー制度とは

マイナンバー制度導入の目的は「国民の利便性の向上」「行政の効率化」「公平・公正な社会の実現」のため、2015年10月に施行されました。 マイナンバーカードの表面には、顔写真と名前、生年月日、住所、性別の基本4情報と呼ばれる、個人を識別するための情報が記載され、裏面には日本に住民票がある全ての方が持つ12桁のマイナンバーが印字されています。

マイナンバーは、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な本人確認書類として利用でき、社会保障、税、災害対策などの行政サービスに使用されています。また、セキュリティ面に関して、日本のマイナンバーにおける本人確認は「二要素認証」を導入しています。マイナンバーカードの顔写真部分に電子証明書入りICチップが備えられており、これとユーザが設定したパスワードを組み合わせることで、認証が行われています。

世界各国のID活用事例

世界各国でも、国民識別番号制度があり、日本のマイナンバーカードと同様に、「物理的な身分証明書」としての利用と、オンライン等での「電子的な身分証明書」としての利用という2つの方法があります。ここで、日本のマイナンバー制度と似た個人認証システムを導入し、実際に運用している事例をみていきましょう。

世界各国のID活用事例

電子的な身分証明書の利用用途は、各国によって特色があり、納税情報や年金情報など、行政機関が保有しているデータをオンラインで本人が閲覧できるため、国民にとって利便性も増します。

一方で、国によって日本のマイナンバー制度のように多要素認証に対応していないことが分かります。マイナンバー制度では二要素認証を採用しているため、マイナンバー自体が外部に漏れても大きなリスクはなく、後発の制度だけに諸外国の類似制度の問題点を踏まえた強固なセキュリティを保持しています。

マイナンバーカードのオンライン化による恩恵

2020年12月現在、各種申請などでマイナンバーを証明する手段は、2016年に交付が開始された物理的なカードである「マイナンバーカード」しか存在しません。マイナンバーカード自体は、各種行政手続きのオンライン申請などに使用できるのですが、ICカードリーダライタまたはスマホにアプリをいれるなど制約が発生してしまいます。

制度開始から5年が経過した2021年1月現在、政府の発表している情報によると、マイナンバーカードの市区町村別交付枚数は全国で21.8%(引用元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000723319.pdf)と、未だ広まり切ってはいないのが現状です。

そのため、コロナ禍に伴う特別定額給付金申請のためにはマイナンバーカードが必要であったことから、役所によってはマイナンバーカードの発行を求める人で、長蛇の列が発生しました。また、一気に申請者が増加したため、申請からカード発行までにも多くの時間がかかる結果に繋がってしまいました。

一方で、アメリカや台湾、韓国などの諸外国では、個人認証システムと銀行口座の情報が紐付けられています。その結果、登録された情報から即座に現金給付がされました。 まずは、生活の利便性を向上させるために、日本国内にてマイナンバーの発行、普及が必要となります。そして、さらにより手続きを簡便にするために期待されるのが「マイナンバーを使った各種手続きのオンライン化」です。コロナウイルスの影響により人との接触が危惧される中、オンラインであれば、各種申請手続きの時間短縮、感染予防対策などの不安要素の解消に繋がります。

マイナンバーカードの活用手段は今後さらに増加

さらには、マイナンバーを使って利用できる各種サービスも、今後さらなる拡充が予定されています。内閣府が発表している『マイナンバー制度導入後のロードマップ(案)」(引用元:https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/faq7_4.pdf)に掲載されている情報を参照すると、マイナンバーカードを使った利活用手段は2020年以降増えていくことが見込まれます。

例えば、同資料内では「国立大学での活用促進」「ハローワークカードとしての活用」「電子版ジョブカードとしての活用」「建設キャリアアップシステムとの連携」がスケジュールに組み込まれています。その他にも、マイナンバーと併用するプラットフォームのマイナポータルでは、2021年から薬剤情報の提供開始も予定されており、さらに政府からは新型コロナワクチン接種情報をマイナンバーに紐付けると表明するなど、マイナンバーは今後ますますの利便性向上が期待できる制度です。

マイナンバーのオンライン化の動きは国だけでなく、企業でも取り入れることにより、ユーザの手間を省き、サービスのさらなる活性化が期待できます。セキュリティを確保しながら、オンラインで完結できるマイナンバー制度への対応は、民間レベルでも今後必要となっていく必要があると言えます。

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